2008年9月29日月曜日

祖母

福島県いわき市まで、娘を連れて父方の祖母に会いに行った。
結婚した年の冬に会いに行って以来だから、約3年ぶりだ。

僕が勤める会社は3日の夏期休暇が付与されるのだが、9月末までに取得しなければならない。仕事の締め切りが続いて夏休みをとるタイミングを逃しており、9月も終わりになってようやく休暇をとることができた。
娘が小さいので特に旅行に行く計画も立てなかったのだが、妻が祖母に会いにいくことを提案してくれた。

祖母は今年で93歳で、一年ほど前から認知症の症状が出はじめ、家のごく近くの病院に介護入院している。

子供ができたとわかったときにすごく喜んでくれたのだが、その半年後ぐらいから子供がもう生まれたかと確認する電話を僕の携帯に毎月かけてくるようになった。
思えばその頃から症状が出ていたのだろう。その度に「12月ごろだよ」と伝えていたのだが、何度目かの時に祖母が敬虔なクリスチャンであることを思い出し、「クリスマスごろだよ」と伝えるとそれ以後は電話をかけてこなくなった。
毎回「生まれたら教えてね」といって電話を切っていた祖母は、僕の子供が生まれるのをとても楽しみにしてくれていたのだろう。

祖母の世話は同居している叔父がしている。僕の父は月に一度、手伝いに行っているそうだ。今回はたまたま父が手伝いに行く日で上野駅で待ち合わせて4人で福島に向かった。

東京から3時間ほど特急に乗って、祖母の家のある駅までつく。
祖母は病院に外出届けを出して午後から家に戻っていた。
祖母は僕が想像していたよりずっと元気で言葉もはっきりしていた。父によるとかなり調子のよい日だったようで、声をかけても受け答えがはっきりしない日も多いそうだ。
父が「誰だかわかる?」と聞くと、「わかるわよ」と僕の名前と妻の名前を言った。僕の名前はともかく、3年前に一度しか会っていない妻の名前を覚えてくれていたことにびっくりした。

父が娘の名前を紙に書いて渡すと、祖母は一度で名前を覚えてその紙を大事そうにしまった。
畳の上ではいはいする娘をみて、相好を崩して「かわいいわねぇ」「変なところに連れてこられてびっくりしてるんじゃないの」と何度も言った。

祖母の家には至る所にキリストを抱く聖母マリアの肖像画が飾られている。イタリアに新婚旅行に行った際、祖母へのお土産として買った聖母マリアの肖像画が、祖父の遺影のそばに飾ってあった。

今の祖母では9ヶ月の娘をだっこすることは難しいので、祖母の膝の上に娘を座らせて写真撮影をした。
娘は祖母にとっては2番目のひ孫だ。初ひ孫は妹の娘(つまり僕の姪)なのだが、まだ福島に連れてきていない。祖母がひ孫を腕に抱くのは今回が初めてだ。妻の提案のおかげでよい孝行ができた。嬉しそうな祖母をみて、来てよかったと改めて思ったが、毎日病院で過ごす祖母の生活を想像して少しさみしくなった。
次は妹夫婦と一緒に来よう。

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